“A Course in Miracles”(ア・コース・イン・ミラクルズ)とは
コロンビア大学大学院臨床心理学の教授であった、ヘレン・シャックマン博士と
ウィリアム・セットフォード博士によってもたらされた書物です。
1965年10月21日、ヘレンが56歳のとき、
“これは奇跡についてのコースです”
という「声」を受け取ったことを契機に、
その後7年にわたってその「声」の語る内容について
書き取られたもののことを言い、
順に「テキスト」、「学習者のためのワークブック」、
「教師のためのマニュアル」が記されていきました。
その「声」というのは、音としてのものではなく、彼女の内なる声であり、
口述筆記のような形で、ヘレンが書き留めては翌日それを読み上げ、
ウィリアム(ビル)がタイプする、という方法をとっていました。
そのコースが完成した後に、
「祈りの歌」、「精神療法、その目的とプロセス、そして実践」という
二冊が書き取られています。
コースが出版されたのは1976年6月のことで、
その後今日にわたり23ヵ国語に翻訳され、200万部以上が販売されています。
理論的には保守的な心理学者および教育者であり、信条的には無神論者であった私は、
格式の高いきわめて学術的な環境の中で仕事をしていました。それからあることが起こり、
私には予測しようにも絶対予測できなかったような一連の出来事が次々と誘発されました。
私が属していた学部の学部長が、教授団の態度に映し出される怒りと攻撃的な感情には
嫌気がさしたと突然宣言し、“別のやり方があるに違いない”と結論を下しました。
まるでその合図を待っていたかのように、私はそのやり方を見つけることに同意しました。
『奇跡のコース』がその別なやり方であることは明らかです。
(『奇跡のコース 第一巻/テキスト』ナチュラルスピリット)
とヘレンが述べているように、
二人が同じ目標に向かって協力しあうと決意したことを機に、
この『奇跡のコース』への道が始まったのでした。
そのコースの冒頭には、このような言葉が記されています。
これは、奇跡についてのコースです。これは必修のコースです。
あなたに任されているのは、コースを受ける時をいつにするかだけです。
自由意志とは、あなたがカリキュラムを設定できるという意味ではありません。
ある時に何を学ぶかを選択できるという意味です。…(中略)…
実在するものは、存在を脅かされることはありません。
非実在なるものは存在しません。
ここに「神」の安らぎがあります。
また、この『奇跡のコース』について、コースの教師であるジョン・マンディ氏は
著書“Living A Course in Miracles”で次のように述べています。
コースは宗教ではありません。コースに基づいてつくられたような階級制度の
組織は存在せず、その教えを熱心に勧め広めようとする活動もありません。
それはひとえに、コースが世界に対して言葉を発することを目的としていないからです。
心の中に真の自己をとどめることを「本質化」、心にあるものを外に出すことを
「具体化」といいますが、コースで重要なのは、心に向けて言葉を発することのみです。
言葉が理解できたら、コースの教えがもたらす効果を実感できるでしょう。
コースの教えを生きることができたら、世界が絶妙に変化するさまを目にできるでしょう。
変化は反発からもたらされるのではなく、明確になることから生ずるものです。
その点においても、自分ひとりですべてを習得できるコースは、すば抜けてすぐれた
セルフ・ヘルプの本といえます。コースを生きるとき、私たちは人生で出会うすべての
関係を癒すことができるのです。
(『奇跡のコース』を生きる 入門から実践まで 香咲弥須子監訳 ナチュラルスピリット)
あなたに苦痛をもたらすのはあなたの思いだけです。あなたのマインド以外のいかなるものも、
いかなる形であれあなたを傷つけ、痛めることはできません。
(ワークブック レッスン190、5)
あなたに見える世界は、あなたが自分の中にどれだけの喜びを見ることを自分に許し、
それを自分のものとして受け容れることを許したかを示しています。そして、もしもこれが
この世界の意味であるとすれば、世界に喜びを与える力はあなたの内部にあるに違いありません。
(テキスト第21章、序論2:7,8)
ヴィジョン、幸せ、苦痛からの解放、罪からの完全な脱出、こうしたことのすべてを
与えられるために、あなたがする必要があるのは次のことだけです。次のことを言いさえすれば
良いのです。ただし、いかなる条件もつけずに本気で言わなければなりません。というのは、
ここにこそ救いの力があるからです。
私は何を見るかに関して責任があります。
私は体験する感情を選択します。達成したい目標に関して決断を下すのは私です。
そして、私に降りかかってくるように見えるすべてのことは私が求めていることであり、
私は求めたようにそれを受け取ります。
あなたに対してなされることを前にして、自分は無力であるとこれ以上自分自身を
欺かないでください。これまで間違っていたということをただ認めてください。
そうすれば、間違いの結果のすべてが姿を消すでしょう。
(第21章、Ⅱ、2)
これは私が見たいものだろうか。私はこれを望んでいるのだろうか。
これはあなたの一つの決断です。これは物事が起こるための条件です。
それはそれがどのように起こるかとは無関係ですが、なぜそれが起こるかとは
無関係ではありません。あなたはこれをしっかりとコントロールしています。
そして、敵がおらず、あなたが無力ではない世界を見る選択をすれば、
それを見るための手段が与えられるでしょう。
(テキスト第21章、Ⅶ、8)
実在するものは、存在を脅かされることはありません。
非実在なるものは存在しません。
ここに「神」の安らぎがあります。
◆これからコースを学ばれる方へ