月の初めにお送りしていた「今月のおたより」ですが、今月は今頃のお届けとなってしまいました。
ありがたいことに様々なことが展開しており、一瞬のうちに6月の半分が過ぎていました。

ここ最近の流れの中で、随分昔に書いた物語のことを思い出しました。文章が書けるようになったばかりの、小学1年生か2年生のときに書いたものです。

幼い頃、物語を書こうとしては最後まで書けずに途中でやめてしまう、ということが何度もありました。完結させることができなかったのです。でも、たった一度だけ、最後まで書くことができた物語がありました。それが、『パシリットの黄色いリボン』でした。

6歳の頃に書いたお話なので、細かいことはすっかり忘れてしまいましたが、あらすじの一部はなんとなく覚えています。
 

パシリットという主人公の女の子(それにしてもどうして「パシリット」という名前にしたのか不思議です、どこかの国では実際に存在している名前なのでしょうか、まったくわかりません)は、お母さんに髪を結ってもらうときに付けてもらった黄色いリボンがお気に入りでした。

とても幸せな気持ちで過ごしていたのですが、友達の女の子はそれを見て羨ましがり、自分がリボンを持っていないことを悲しんでしまいます。

自分には黄色いリボンが与えられているのに、友達にはリボンがなく、その友達がそれを嘆き悲しんでいることを辛く思ったパシリットは・・・。

パシリットは・・・この後が思い出せません。何かしたのです。たぶん、神様にお祈りしたのだったと思います。

すると、ある場所に(どこだったか忘れました)、青いリボンがたくさん付いている、大きな木を見つけます。パシリットとその女の子は驚き、とても喜び、その女の子もリボンを髪に結んで付けることができました。二人はとても幸せでした。他の女の子たちも青いリボンを付けて、楽しそうでした。
   

最後までわたしが物語を書けたのは、このストーリーだけです。
そのためなのかわかりませんが、なぜか大人になっても、このあらすじの一部だけはずっと覚えていました。そしてこのストーリーを思い出したときに、なぜか一緒に思い出されるのは、当時近所に住んでいたMちゃんのことです。

ある日の、学校からの帰り道、Mちゃんとサンタクロースの話になりました。サンタさんにお願いしたいプレゼントの話か何かを、わたしがし始めたのだったと思いますが(我が家では、“サンタさん”は実在していることになっていて、心の中でこっそりお願いしたものをクリスマス前の夜、枕元に置いておいてくれるので、わたしはすっかり信じていました)、Mちゃんは、「サンタさんはいないって、お母さん言ってたで」と言うのです。

わたしは、Mちゃんの言うことを否定したいとは思いませんでした。「プレゼントは?」と尋ねると、Mちゃんは「お父さんとお母さんが買ってくれるねん」と言いました。「それやったら、よかったね」。「うん」。確かこのようなやりとりだったと思います。
 

Mちゃん家の前でバイバイしてから、自分の家まで数百メートルを一人で歩くあいだ、わたしは少し悲しい気持ちになりました。
サンタさんは、世界中の子供たちにプレゼントをくれるんじゃなかったん?愛ちゃんのところには来てくれるのに、なんで?Mちゃんのお父さんとお母さんがプレゼントをあげるから来ないん?

真剣に考えても、Mちゃんの家にサンタクロースが来ない理由がわかりませんでした。家に着いて、母にこの話をしても、適当な返事が返ってくるだけで、わたしは納得できずにいました。

それで、祈ったのです。小学1、2年生のわたしがどんな言葉で祈ったのかは忘れてしまいましたが、「サンタさんはどうしてMちゃんの家には来ないんですか。Mちゃんのお父さんとお母さんが、サンタさんはいないって言ったからですか。プレゼントを渡しているからですか。MちゃんとAちゃん(Mちゃんの妹)のところにも、サンタさんが来ますように」

それは、“サンタさん”の愛がMちゃんとAちゃんにも届いてほしいという願いでした。みんな愛されているはずだから、それが本当のことだと見せてほしいという願い。

もしかしたら、この出来事の後に、『パシリットの黄色いリボン』を書いたのかもしれません。
 

みんな愛されているはずだから、それが本当のことだと見せてほしい。
自分にばかり愛の体験がやって来て、誰かにはやって来ないという世界にはならないでほしい。そうでないと、わたしは悲しい。そうでないと、わたしは心から喜べない。

小学生の頃からずっと同じ思いを抱えてきたのだということに、最近気づきました。
みんな幸せであってほしい。平等に愛されているということが本当のことだと、見せてほしい。

子供の頃は、それが形レベルで示されていなければ、悲しくてつらいと思っていましたが(Mちゃんはもちろん愛されていたのに、サンタクロースが来ないということを、かわいそうなことだと勝手に解釈していたのです)、コースを学んでからのわたしとしては、心のレベルにおいて、それは可能なことだと——確かに誰もが平等に愛されているということを、ホーリースピリットの眼差しで“見る”ことができるのだと——、確信しているのみなのだと感じます。
 

学校の教師を辞めることにしたとき、親しくしていた同世代の先生たちが送別会を開いてくれて、折りたたみ式の素敵な色紙のような大きなカードをプレゼントしてくれました。それぞれの先生たちからのメッセージが、そのカードに付けられた封筒に入っていたのですが、家に帰ってから1つずつ出して読んでみると、ある一人の先生の手紙に、「あなたのことが羨ましかった」と書いてあり、少しびっくりしたことがありました。

他の人からも、「愛ちゃんのことが羨ましかった」と言われたことがあります。そうした言葉を聞くと、いつも寂しい気持ち、悲しい気持ちになっていました。今思えば、わたしはずっと、パシリットの物語を書いた頃から同じ思いを抱えていたんだなと、つい最近の出来事がきっかけで、気づいたのです。

誰もが愛されていて、愛を何度だって(毎日!)経験することができて、誰もが真に光り輝いて生きていけるんだということを、見たい。誰もが愛に値するし、誰にだって奇跡を受け取る資格があるのだし、誰だって、ホーリースピリットに使われて、神の使者として幸せでいられる。それを、どうか見せてください。

そのような、切実な願いがありました。
 

ワプニックさんの本に、「兄弟が自我を選んでいるということを尊重することも大切」といったようなことが書かれてあったし、その心がどちらを望むのかによって、何を受け取るのかが決まるので、そういう意味では、わたしにできることは、兄弟の聖性を、光を、ホーリースピリットに見せてもらうこと、その祈りにとどまり、確信していることのみです。

でも、形のレベルで、という意味ではなく、心のレベルで、パシリットの物語は“実現”するのだと感じます。
自分の幸せは誰かの犠牲の上に成り立っているという、自我の考える世界は虚構であり、自分の幸せとみんなの幸せはひとつのものだということこそ本当のことなのだから、その真実を映し出すリアルワールドを生きていたいです。わたしたちは繋がっていてひとつ、同じなのだということだけが、“幸せ”。

だからリボンの色も、みんな同じ。
6歳のわたしには見えていなかったものが、今、“見えている”、このことを大切にしていたいです。

誰かからの、「あなたのことが羨ましい」という言葉が、もし今後もやってくるとしても、それは、「わたしたちは“同じ”だということを、一緒に思い出そうよ」と、呼びかけてくれているのだから、「もちろん!ありがとう♡」と、ハートで応答することができます。もう、ここに、悲しみを感じる必要はないのです。確かに、わたしたちには、差異がないのだから。同じ色のリボンで、繋がっているのだから。

 

6.あなたが一人ひとりと交わす合意を、「私はあなたとひとつであって分離していない」というものにしなさい。2そうすれば彼は、あなたが彼と交わすその約束を守るだろう。なぜなら、それは神が彼に対し約束した通りに、彼が神に対し約束したことだからである。3神は神の約束を守り、神の子は神の子の約束を守る。4彼を創造したとき、父はこう言った。「あなたは永遠に私の愛する子であり、私は永遠にあなたの愛する者である。5私が完全であるように、あなたも完全でありなさい。あなたは絶対に私から離れることはできないからである。」6神の子は、「その通りにします」と答えたことを覚えていない。だが、その約束において彼は生まれたのである。

T-28.VI.6:1-6/『奇跡講座 上巻』
中央アート出版社
emphasis mine

 

わたしとあなたはひとつです。
分離してなどいません。

わたしたちは同じです。
わたしたちは、神が創造したままの聖なる神の子です。
 

聖なる同意を、ご一緒に——。

Blessings,

 

2024.6.17配信
(繋がってくださっている方に毎月お送りしています)

 

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