書籍『A Course in Miracles』(ア・コース・イン・ミラクルズ)をベースに、その教え、「ゆるし」の視点を通して、日々の経験をもう一度省みること――「良い」・「悪い」という価値判断をむろん超えたところで行うやさしい心のエクササイズ――を、昨年から「奇跡のコース・シェア会」という場で続けてきました。
わたしとしては、自己学習を目的としているこの『コース』(『奇跡のコース』/『奇跡講座』/『奇跡の道』)を、文字通り自分で、自主的に行っていこうと思っていただけで、しかも「わたしは何もわかってなどいない」ということを、この『コース』のワークブック編にある365のレッスンを一日一つずつ続けてやっていくなかでしみじみ思うものだから、まさか自分が「シェア会」を開催するとはつゆほども思っていなかったのですが、ホーリースピリットからのガイダンスがあったために(それも何度も…)、行うことにしたのです。
一年経ってみて思うことは、こんなに幸せを感じられる時間があるだろうかということ。それはもちろん、私的な思いで「幸せ」だと言っているのではなくて、集まるメンバーが「対等」に、日常のささいな、けれども心のざわざわすることや違和感のあること、どうしたって手放しようがないと思えることの数々を、やさしい空気感のなかでひとつずつ、その場の全員で共有している「心のテーブル」に置いていって、ああこれはどうしようもない問題なのだと見てきたけれども、それは「真実」とは程遠いところで自分が見ていた夢だった、わたしの思い違いだったのだということを、頭で理解しようとするのではなく、ただ「預ける」ために「話す」ことによって――それはいつも素晴らしい(自我の思いを怖れずにそのまま話すという)開示で、必ず別の誰かの何かにつながっているのです――感じられるということの、そのしずかな喜びと安心感、集まったメンバーの心がひとつになる安らかさ、そういったものをみんなが受け取れることに対して幸せだと感じるのです。
自分ひとりで、どうしてこれができるでしょうか。
このシェア会は、集まるみなさんの心の力によってつくられていて――それはもう本当に毎回うつくしいのです――、たったひとりでは、自分のイメージメイキングがどれほど滑稽で、どれほどナンセンスかということに気づけないものですが、愛あふれる仲間たちがいることによって、ひとりひとりの本当の心のそのものとつながってゆくことによって、エゴの思いはみるみる溶けて消えていき、「だいじょうぶ」という深い安心感、平和な気持ちが蘇ってくるのです。
自分の抱える大小さまざまな問題を、自分で解決しようなどと思うことの無意味さは、本当にゆだねたい、本当に助けてもらいたい、自分ではどうしようもない、もう降参だと思えたときに気づけるのかもしれません。わたしたちは、「降参する」しかないのです。それは本当に幸せなことです。サレンダーする(降参する、預ける)ことは、自分の無力さを認めることではありません。本当のわたしたち、真の自己、愛そのものにこそ本当の力があって、エゴ(自我)でコントロールすることには意味がないのだということを認めることだとわたしは思っています。
けれども、「ゆだねてください」と言われてやすやすとそのようにするのは、なかなか難しいことなのかもしれません。本当に簡単にサレンダーできるならば、あれこれと思い悩むことはいっさいなく、何の迷いも葛藤もなく、いつどの瞬間も平和な心で過ごし、愛だけを与え教える生き方をしているでしょうから。
だからこそたとえば「シェア会」という場を持つことは、とても素晴らしいことなのだと感じます。たったひとりではわかち合えないのだし、自我そのものの思いからは、けっして「真実」に触れることはできないのですから。集まったメンバーがともに「ゆるし」の視点をもつことによって、どれだけのやすらぎを感じられることか、どんなに素晴らしい「奇跡」を経験させてもらえることか。これはもうまさしく「経験」するよりほかないのです。この感覚は、言語を超えています。
すべてのコミュニケーションが深いものになってゆく、そのやわらかさ、清らかさとうつくしさを実感できるようになるには、思い違いを、見間違いを訂正するという、本当にやさしい「ゆるし」(一般的な意味での赦免とは異なるゆるし)を日々行っていくことが大切で、それには相手が要る――つねにその機会が与えられている――ということに心から感謝したいと思うばかりです。
大事なことは、『コース』を学んでいるかどうかではなくて、この「ゆるし」を行うこと、本当の自己に、愛に還ってゆく意志を再確認することなのだろうと感じます。誰との出会い、関わりにおいても、物との関係性さえも、その機会が与えられているということを忘れずに、「いま」という瞬間、「現在」にのみフォーカスしていたいと思います。
先日のシェア会は、とても2時間とは思えないほどの密度、深さを感じられる素晴らしい時間となりました。みなさんが遠慮することなく、その時感じたことをそのままシンプルに、まっすぐにお話してくださったことによって、どんどん共鳴が起き、響き合い、わたしたちの心はひとつとなって調和し、得も言われぬ感覚を経験することとなりました。来てよかったと言ってくださったり、幸せだったとメッセージをくださった方もいて、本当にゆたかな、愛にあふれた時間をわかち合えたことに、感謝の思いでいっぱいです。
ご参加くださいましたみなさま、本当にありがとうございました。
みなさまの愛が「いま」も拡がっていることを確信しています。いつもご自分にやさしく、正直に……。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
愛と感謝をこめて
末吉 愛