「これを変えて」ではなく「ここに於いて」／奇跡のコース・奇跡講座

先日のオンラインクラスで、ある方からいただいたご質問にお答えするなかで、誰もが必ず導かれるけれども、愛の贈り物を受け取る上で勘違いせずにいたい、とても大切なこととして＜「これを変えて」ではなく「ここに於いて」＞という言葉が浮かんできました。その時、力強い愛のエナジーをはっきりと感じたのですが、今もその感覚が残っているので、この場でみなさんにもシェアしたいなと思って書いています。

わたしたちは人生を通してあらゆることを経験します。ときに、「どうしてこんな目に遭ったのか」と思えるようなことが起きたり、「こんなはずじゃなかったのに」と嘆くようなことがあるかもしれません。

A Course in Miracles(ア・コース・イン・ミラクルズ)という本——世界的に活躍するスピリチュアルリーダーたちが学んできたと言われ、現時点で25カ国語に翻訳されている本——のテキスト第一章の冒頭に、There is no order of difficulty in miracles. （「奇跡に難易度はありません」『奇跡のコース』ナチュラルスピリット／「奇跡に難しさの序列はない」『奇跡講座』中央アート出版社）と記されています。

わたしたちが何を問題だと見ているとしても、必ず奇跡を受け取ることができます。奇跡に難易度は、難しさの序列は、ないのです。

「どうしてこんなことになったのか」と思うような状況（望ましくないこと、良くないことだと捉えていること）に対して、「これをどうにかしなくてはいけない」、「どうしたらいいんだろうか」と考えがちですが、奇跡という愛の贈り物は、その、自分が「これは望ましくないことだ」、「これは悪いことだ」、「これは問題だ」とみなしている状況に自分で対処したり、それを改善したり解決しようとすることによって受け取れるのではなく、その状況、その渦中に於いて、そこで、内なるガイドに助けを求めることによって奇跡を受け取ることができます。自分で物事や他者を変えようとすることなく、ただ愛に心を開くことによって受け取れるのが「奇跡」です。

「これを変えて」愛の贈り物を受け取ろう、より良くすることで幸せになろう。
これは、一見、ごく当然の考え（「ポジティブ」な考え）のように思えますが、本当にこの考えが、自分を幸せにするのかどうか、問うてみたいものです。生まれてうん十年、それで、満ち足りた幸せに至ったのだろうか。平安に達したのだろうか。困難や苦しみは、心配や恐れは消え去っただろうか。

物事や状況を、相手を変えることによって自分は幸せになれる、心穏やかでいられると信じているあいだは、艱難辛苦が消えることはありません。奇跡を受け取れません。

住む場所を変えたら、仕事を変えたら、パートナーを変えたら、生活習慣を変えたら、幸せに……なれる？
物事を改善したら、相手の態度を改めさせたら、幸せで満ち足りた心に……なれる？
変えても、変わらないのではないでしょうか。

外側をいくら変えようと必死になって、変えることができたと思ったとしても、内側が変わることはありません。

行動を変えることで心は変えられない

(T-4.IV.2:1/『奇跡講座上巻』/中央アート出版社)

状況を、他者を変えようと行動を起こしたとしても、それによって平安が拡がり、喜びにあふれ、幸せに満ちた、慈しみの心でいられるようにはならないのです。今までそれをして、失敗してきたということを認められる心は、本当の変化を、シフトを、奇跡を受け取れる心だと言えるでしょう。

「これを変えて」ではなく「ここに於いて」奇跡を受け取れます。
こんな嫌なことがあった、こんなひどい人がいる。自我（エゴ）はいくらだって文句を言いますが、愛の贈り物は、「こんな嫌なこと」と見える「ここに」、あるのです。愛の贈り物は、「こんなひどい人」と見える「この人が」差し出してくれているのです。どうして、「こんな嫌なこと」と自分で勝手に思っているそのことを、「こんなひどい人」と自分で勝手に裁いているその方を、変える必要があるでしょうか。

わたしは、まったく見えていませんでした。
わたしが、気づかずに、受け取らずにいたのです。

今、わたしは真に見たいと願います。

ホーリースピリット、
わたしがここに於いて／この方の中に
愛の輝きを見られるよう助けてください。

すでに与えられている愛の贈り物を
受け取ることができますように。
どうぞ教えてください。
どうぞ学ばせてください。

今こそわたしは、愛に心を開きます。
ありがとうございます。

わたしたちの、誰の中にもいる内なるガイド、ホーリースピリットは必ず助けてくれます。それまで見えなかったものが、見えるようになります。心は静けさに戻り、平安の中でくつろいで、わたしたちの心の繋がりに、その美しさに感謝し、喜び、讃え、清らかな光に溶けていきます。

その心は、未来を案じることはありません。この地上で何をすることが全員にとっての最善となるのかを知っているホーリースピリットにすべてゆだねているからです。

住む場所を変えても、仕事を変えても、パートナーを変えても、生活習慣を変えても救われることがないと言っても、ホーリースピリットは、もちろん、ずっとそこに住んでいろ、ずっとその仕事にしておけ、諦めてそのパートナーと一緒にいなさい、生活習慣を変えることは間違っているなどといったことは決して言いません。

何のために、地上（この夢の世界）にいるのか。地上の、日常生活のあらゆることを何のために使うのか、その目的を入れ替えるのです。おぞましさや苦痛や罪を、分離を見て恐れ続けるのではなく、自我（エゴ）の作ったこの世界のあらゆるところに、その形を超えたところに、愛の輝きを見ること、皆と愛を分かち合うこと（コースでは「ゆるし」と呼びます）を目的とするのです。

ゆだねている心によって紡ぎ出される言葉には愛が反映され、手も足も、お金も時間もみな、愛を分かち合うためにのみ使われます。攻撃と防御は不要だからです。すべてを祝福しているので、祝福を受け取ります。悲しみや苦しみ、嘆きや不満はありません。自我（エゴ）を選ばずに（闘志を捨て去って）、ホーリースピリットを選んだ（和解を、融合を決断した）からです。

これが、わたしたちの、ここにおける本来の姿です。
もし本当にこんな状態になれたら、幸せだ……と思うでしょうか。

そうです、このようであることは幸せなことです。これが「自然な」ことです！

自分にはそんなことはできないと思うかもしれませんが、自分でしなさいとは書かれていません。ホーリースピリットに助けを求めるようA Course in Miraclesは教えてくれています。

ACIMは、内なる真の教師ホーリースピリットは、わたしたちが幸せに戻れるよう、愛に還ることができるよう、一歩一歩を確かに導いてくれます。

「これを変えて」ではなく「ここに於いて」。その心であるとき、必ず奇跡を受け取れます。
地上で、何度でも、美しい愛の輝きを目撃しましょう。

確かに愛されていた、心は繋がっていた、幸せだけが相応しいのだったと思い出すことができます。
わたしたちが、いったい誰だったのかを、自分＝足りない存在ではなく、自分＝清らかなスピリットだったのだと、思い出せるのです。

一緒に、この上ない幸せを。
その夢の旅路を。

Blessings,
愛

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