問題と無縁でいられる方法 ——５月のおたより

サツキの花があかるく照らしてくれているように、誰もが真に価値ある存在で、誰もが照らしてくれているということを、忘れずにいたいと感じています。

恩義を受けていることや、感謝することを忘れている心だけが、「問題」を見ます。「問題」というのは、「これでは不十分だ」、「これでは足りない」、「自分は与えられていない」、「自分は欠けている」という考えそのものです。

けれども幸いなことに、問題と無縁でいられる方法があります。
問題の中身が何かわかっているなら、これはとても簡単なことだと思えますよね。
　

自我は何もわかっていないので、「問題と無縁でいられる方法」を、「問題がやってこないようにすること」であったり、「もし問題が生じてもすぐに消し去ることができる方法」のことだと考えます。自我にとって、「問題」といのは、いつまでも、実在のものだからです。

コース用語だけで片付けてしまって真の実践をせずにいたい心は、「わかるわかる。その方法って赦しでしょ」と言って終わってしまいます。赦しが何かわかっていないのに。

本当に、コースの中で伝えられている＜真の赦し＞を実践していたら、「赦しても問題が次々と出てくる」ということにはなりません。また同じドラマやってるねってことにはなりません。

イエスの言う、“赦し”が、ただの堂々巡りに終わるような、中身のない教えなのだとしたら、ずっとわたしたちの心は地獄どまりになってしまいます。
幻想の夢の中で、「これも夢だから」などと言葉だけは本文に則したことを言いつつ、心はちっとも幻想、夢だとは受け入れておらず（その証拠に「欲」がつきない）、「みんな神の子よね、ありがとう」と口では綺麗なことを言いつつ、実は密かに競争心を燃やして（上下で判断、勝ち負けで判定して）いたり、人といちいち比べる癖が直っていない、などということが、＜コースを学んで得られること＞なのだとしたら——これを地獄どまりと言わず何と呼ぶのでしょう——、誰がそれを見て、お手本だ、倣いたいと思うでしょう、そのようなレベルのものを、＜イエスの教え＞だと言えるでしょうか。
　

イエスは綺麗事を言いません。イエスは否定することもしません。真理は真理、虚偽は虚偽。これを明確に伝えてくれているのみです。わたしたちは、自我ではありません。

イエスの教えの通りに実践するなら、「赦しても問題が次々と出てくる」という、堂々巡りにはなりません。イエスの教えは、そんな中身のない教えなどではありませんから。

となると、考えてみたいことは、「堂々巡り」に終止符を打ちたいかどうかです。それとも、この「堂々巡り」を仕方のないことだとして受け入れてしまうのでしょうか。まさか、運命だとでも——？

「不毛な堂々巡りの地獄どまり」は、人間の定めと言えるかもしれません。でも、神の子の運命ではありません。神の子に苦痛は必要ないのです。イエスの言う通り——。
　

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恩義を受けていることや、感謝することを忘れている心だけが、「問題」を見ます。「問題」というのは、「これでは不十分だ」、「これでは足りない」、「自分は与えられていない」、「自分は欠けている」という考えそのものです（コースでは「分離」が問題だと言っていますが、分離を信じることで生じる考えがこうしたものたちです）。

恩義を受けていることや、感謝することを忘れている心だけが、「問題」を見ます。
恩義を受けていることや、感謝することを忘れていない心には、「問題」は見えません。

五章序３．どこに居るどの兄弟の善意ある想念だろうと、その一つひとつにより、あなたは祝福されている。２あなたも感謝の気持ちから、彼らに祝福を返したいと思うべきである。３あなたが彼らを個人的に知っている必要はなく、彼らがあなたを個人的に知っている必要もない。４その光はあまりに強力なので、一なる子の隅々にまで輝き、その上にご自身の喜びを輝かせている父に感謝を返す。

十八章Ⅴ７．脅威が知覚されているそのとき、より正気である者が思い出すべきことは、自分がどれだけ相手に恩義を受けているか、そしてどれほどその相手に感謝すべきかということである。そして自分が自分と相手の両方に幸せをもたらすことによって、恩返しができることを喜ばなければならない。

(『奇跡講座上巻』中央アート出版社)

本当のhealing（本当の問題解決）を望むなら、自分だけ助かりたい、この自分の問題は自分にとって解決されればそれでいい、そんなエゴ剥き出しの考えの奴隷にならずに、それがどんな問題に見えていようとも、すべての兄弟に純粋に感謝する気持ちから、祝福をお返しする心でいるはずであり、誰かとのことなら、その相手に、真の意味でどれほど恩義を受けているか、どれほど感謝すべきかについて無視せず、心を開いているはずで、相手と＜一緒に＞癒されたい、救われたいと願っているはずなのです。

分離（ただ１つの問題）は、実在のものではないのだから、だから、＜一緒に＞の心が必須なのです。
お金の問題に見えていようと、健康問題だと思っていようと、これは極めて個人的な問題だというふうに信じていようと、その「個人」（分離はホンモノだと信じる頑固な考え）から解き放たれて、＜一緒＞、＜同じ＞、＜ひとつ＞に戻る、これを思い出すことを望まない限り、問題はいくらでも続くのです。懲りていないから。どうしても分離をリアルにしたがっているから。
　

自我は、気に入らなかったら、切り捨てます。それがエゴです。期待通りでなければ捨てる。やめる。投げ出す。そういう貧しさがあります。その職場は、そのコミュニティは、「捨てた」かもしれない。その人のことは、「捨てた」かもしれない。その役割、ポジションは、「捨てた」かもしれない。でも、地獄を捨てたことにはならないので、必ず、また似たようなことが起こります。問題は何度でも、形を変えてでも、いくらでも、出てきて、続きます。自我を選んだままだからです。

問題と無縁でいられる方法が、すでに与えられているというのに、これを採用しないで、地獄どまりの方法を採用するのだとしたら、それは本当に無意味だし、時間もお金も、人生をまるごと、無駄にするようなものです。

貧しい心でいたくないものです。
文句ばかり垂れて、人の欠点探しばかりして。「もっと〜だったらいいのに」と、自分の都合ばかり考えて。そんな自分が嫌になったら今度は自分責めが続く。自分のことを棚に上げて人のことをとやかく言う心は貧しい。弱いままでいたい心は貧しい。自我を選んでいる者は貧しいのだとイエスが言っています。

わたしたちは、そんな貧しい者でいたくないですよね。堂々巡りの日常を、「コースを学んでいても仕方ないのよ」と言って容認するようなものであってはいけませんよね。イエスは、そんな中身のない教えを伝えているわけではないのだから。「堂々巡りは仕方ありません」なんて、一言も言っていないのだから。

　
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お金がいくらあっても貧しい、ということもあり得ます。お金は十分に持っていたけれど、一文無しのときのマリアの心に驚いて、真の豊かさに興味を持った男性とのやり取りを、コースの教師、マリア・フェリーぺさんが以下の動画の中で語ってくれています。

長い動画の一部、7分ほどを切り取っているので、少しわかりづらいところもあるかもしれませんが、ここからだけでも、「このコースの教師を見定めてやる」という貧しさなしに、まっさらな心で、ハートで受け取りたいという気持ちで見てみるなら、受け取れるものがたくさんあります。貧しい心は貧しさを、豊かな心は豊かさを見るのです。いつでも、何に対してでもそうです。